柿の花降る
大きさ、わずか1cmほどのこの花は「柿」の花です。
お散歩してたら、降ってきました。 風もないのに、ポツポツと音を立てて。
地面に落ちたばかりの花は、乳白色のろう細工のようですが、この白さは半日ともちません。ウチに持って帰ったら、もう茶色い。
柿の花が落ちるところを見たことがありますか?というより、柿の花を。
小さくて、葉に隠れるように咲いています。落ちたらすぐ色が変わっていって、陽にあたったり、人に踏まれたりして、あっという間に姿を変えてしまうから、よほどタイミングがよくないと原形が見られないのです。
だから今年の私は、とてもラッキー。
つぶつぶの花は、幾日か続けて降るそうですが、私が見たのは、今まで生きてきて、たった2度!
1度めは小学生(たぶん低学年)の頃です。
子どもの頃住んでいた古い家は、車の通る道を少し入った突き当たりにあり、家の手前には、お隣の大きな柿の木が、枝を広げていました。
ある日、学校から帰ってくると、なんと、家の玄関までの細い道一面が、柿の花。
ほんとうにカーペットを敷き詰めたようでした。ひとしきり降った直後だったのでしょう。誰にも踏まれていない花は息をのむほどきれいでした。
生まれてはじめて見る光景。しばらく眺め、結局、その上を踏むことができず、道の端にあった石の上を、つま先立ちで歩いて帰ったことを覚えています。
いろいろと思い出のある家ですが、柿の花の記憶は、大人になっても、幾度となく思い出しました。
今回の花は、あのときとは違ってまばらですが、降る様を、ゆっくり眺めることができました。
みかんちゃんも見てる?
柿の花の降る下を、みかんと散歩したことも、新しく思い出に加わるかしらん。