niwazou2007-07-17

 いつもと違ったお客様が、次々と売り場にやって来ました。
 最初は、英語圏若い女性です。 スパニッシュぅ な顔立ちですが、しゃべってる言葉は英語。
 彼女、鉢植えを置いてある 「木製の台 」を指差しながら、私に向かって英語でしゃべり始めました。 
 ええっ、相手を選んでおくれよぉー。 いきなり、オール英語で話しかけられ、舞い上がる私。
 どうやら、植物じゃなくて、この小机が欲しいと言っているようです。 金額を聞かれているような雰囲気。 しかし、これは売り物じゃないんです。
 とりあえず 「ノー。ジス イズ ディスプレイ。 ノー プライス。 アーハーン?」(←最後のはウソ) と答えてみました ・・・ 今どき、中学生でも、もうちょっと話せよう。
 すると彼女。 わかったのか 「だめだこりゃ」 と思ったのかはナゾですが、 「ふっ」 と軽い笑みを残して去って行きました。
 似たような出来事は続くものです。
 しばらくすると、180cm以上はあろう長身の、大柄なおじさんがやってきました。 並んでいる 「こけ玉」 や 「鉢植え」 に顔をくっつけて、そりゃもう穴があきそうなくらいマジマジと観察しています。
 な、なんかイヤな予感がするっ。 こ、声をかけるのは、やめておこう。
 とりあえず笑みを絶やさず、おじさんから少し離れた位置に立ってみました。 と ・・・ キ、キターっ! おじさん、大きな体を揺らしながら、私のそばに来てしゃべり始めました。
 「コケはぁー・こうするのぉー・丸いのーでぇー」
  んー??  なんか、ちょっとたどたどしい日本語。顔はどうみても日本人なのですが、彼は外国人のようです。
 しかし、よーく落ち着いて聞いてみると “なんで、植物にこんなふうにコケを巻いているのか” ということを問いたかったようです。 OH! 核心をついた質問です。
 それはですねー、室内でも身近に植物を楽しめるようにですねー、こんな形を考えたのですー。 こんなふうに巻くことで、コケが鉢の代わりをしてくれますー。 コケで仕立てた盆栽ですー。
 というようなことを、これまた、たどたどしい日本語で答えた、日本人の私。
 しかし、このおじさん、しゃべることばに反して、たいへん理解力のある人でした。 「部屋の中のためぇー、コケ巻いてある。 松の下のコケ・・・ 」 と、私のことばをひとつひとつ確かめ、うなずき、 「ワカリマシタ、アリガト」 と言って帰っていきました。
 所要時間、20分。 冷や汗続きの1日でした。
 こうして、言葉の違う人と向き合ってみると、外国語のみならず、自国語もウマくない自分に気づくのでした。 なんだかなぁ。
 あ、上の写真は「草アジサイ」。 下の写真は「ワレモコウ」です。