伝統ある、赤いバラ
「名前は知らないんだけど、あの赤いの、好きなのよねー、私」
この仕事を始めてから、何度、この言葉を聞いたでしょう。
「あの赤いの」 とは、写真の 「カクテル」 というバラを指しております。 ほとんどの人、どこかで見たことあるんじゃないでしょうか。
赤色でバラっぽくない一重咲き。 真ん中が黄色っぽくて ・・・という姿は、印象的ですよね。
キャリアの長いロザリアン(=バラを育てる人のことよ) の方にとっては、「大衆的なつるバラ」 ってイメージかな?
「大衆的」って、語弊がありそうだけど、言葉どおりカクテルは “いろーんな人に受け入れられ易い” バラなんですよね。
丈夫で、枝が太くなりすぎないので枝が扱い易い。 四季咲きだからが咲いてる時期が長いし、中輪の花が房になって咲くから、花数が多い。
樹高は〜2mくらいで、じつは 「つるバラ」 というより、つるバラっぽい種類といった方が正しい。
手を焼くほどに巨大に育つこともないのが、逆に扱いやすくて、2mくらいの枝を利用して、つるバラっぽく仕上がる。
つまり、見た目の人気だけでなく、実際、初心者の人も育て易いんです。
園芸店だってホームセンターだって、たいてい入荷されてて手に入りやすいし、「敷居の高くない」バラ。
さて、このカクテルの特徴である、真ん中の黄色ですが。
これ、時間の経過とともに白くなっていきます。 翌日には、もう、という話もある。
「写真でみたのは真ん中が黄色かったのに、ウチのは白い。 写真と違ーう!」 と腹を立ててはいけませんよ。 どっちも、ほんとのカクテルなんですから。
左の写真は、ちょうど開いたばかりなんでしょう。 黄色がきれいです。
隣には、こぼれダネで育ったモミジ。 モミジと並ぶとしっとりと美しく、和風に見える。
1957年、フランスで作出されたカクテルですが、伝統あるバラは、いろいろな表情を見せてくれます。