いぬの決まり
この立派な長い塀の先は、柴犬 「はなちゃん」 ちの門。
はなちゃんは躾の行き届いた犬です。
「家の者以外からは、決して食べ物を口にしない」 というのはご主人から聞きましたが、実際、鼻先に手を差し出しても匂いを嗅いだら顔を離します。 ペロペロっとか、決してしない。
いつもは、みかんちゃんの気配がするとシャッターの内側に座ってじっと待っています。
たいていの犬がそうするように、興奮して動き回ったりシャッターに飛びついたりはしないし、吠えもしない。 数年来の付き合いですが、今だに、はなちゃんの声を聞いたことがありません。
そんな、はなちゃんちのシャッターが開いていた今日。 目と目が合ったふたりですが ・・・
むむむ、なんだこの距離は。
みかんちゃんはリードで引っ張られているので仕方ないとして、はなちゃん。 ふたりを遮るシャッターがないというのに全くいつもと同じ様子で、近づいては来ません。
いや、むしろシャッターがあるときよりも離れた所に座っている。
「はなちゃん」 と声をかけたけど、この後走り寄って来ることもなく、一定の距離を保ったまま見つめ合っていたふたりなのでした。
シャッターなんてなくても、はなちゃんの中では 「ウチと外」 のラインが決まっているのでしょうか。
シッポはずーっとふりふりしていたので、会えて嬉しかったのは間違いないと思うけど。
はなちゃんは、どんなときも自分をコントロールできる、スゴイ犬なのでした。